転がる石に苔むさずの英語
“A rolling stone gathers no moss.”
転がる石は、コケを集めない
- 転がる石には苔が生えない
- 転石、苔を生ぜず
イギリス生まれの英語
このことわざは、イギリスとアメリカで意味が異なると言われています。
古くはイギリスで生まれたことわざです。川の中にある石など、転がり続ける石には苔が付かないことから意味が派生して、頻繁に住所や職業を変えたりする落ち着きのない人達は、お金もたまらないし、結局大成しないという戒めや忍耐の必要性の意味として使われていました。
どうやらイギリスでは、苔自体を利益とか価値のあるものとしてとらえているようです。苔ができるためには長い年月がかかるものなので、伝統や歴史を重んじる保守的なイギリスならではの発想なのかもしれませんね。なので、”苔が生えないこと”は、ネガティブな意味として使用されています。
元々「しょっちゅう植え替えたりしている植物や木は、果実が小さい」というラテン語のことわざがありましたが、これと同じ意味で使っていたようです。
アメリカで意味が転じた英語
一方でアメリカにおいては、苔は否定的な意味といて用いられています。よって、むしろ『活発に活動している人は、いつまでも古くはならない、新鮮だ』というまったく逆のポジティブな意味になります。
”苔”のような伝統や歴史は古臭くて、価値の無いものとする考え方は、かつて新天地をもとめてアメリカ大陸に移住した人たちの、革新的なフロンティアスピリットを反映しているようです。
転がる石に苔むさずの英語まとめ
ところでローリングストーンと言えば、イギリスのロックバンドのローリングストーンズを思い浮かべる人も多いかもしれません。これはイギリス風の意味で、風来坊とか、職業不詳な人、あちこち転がり回る人、根無し草などの解釈でよさそうです。
ムーミン風に言えば、スナフキン達と言ったところでしょうか。
とはいえ、現在のアメリカ人やイギリス人が、厳密にそれぞれの意味で使用しているわけではなさそうです。文脈に応じてアメリカ人でもネガティブな意味で使うこともあるし、逆もまたあるそうですよ。